梅干し
私が結婚してから、実家に行くと、父と母は、なぜかいつも上機嫌だった。少なくとも私には二人が生活を楽しんで過ごしているようにみえた。
ある日、父が私に言った。
「これ食べてみ?おいしいから。絶品やで。」
父はうれしいそうにテーブルに置いてある梅干しを指さした。
母に父の言葉を伝えると、
「そう?それなら、うれしいんだけど」
と、うれしいそうにはにかみながら、微笑んだ。
食べてみると、たしかに、酸っぱすぎもせず、塩からすぎもしない、肉厚のおいしい梅干しだった。梅のなんともいえないいい香りがして、なんだかおいしいスイーツのようにも思えた。
いつか私は、その梅干しの作り方を教えてほしいと母に伝えていたが、時間がなくて、なかなか実現しなかった。私は、本を見ながらなんどかチャレンジしたが、必ず途中でカビが生えたりして、うまくいかなかった。結局いつも母のお手製の出来上がった梅干しをいただいていた。
今年こそ母に梅干しの作り方を教えてもらおうと思う。
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