文鳥とりすの思い出
私は、4歳の時からピアノを習っていた。一人目の先生は、男の先生だったけれど、二人目の先生は、当時3歳下の妹が通っていたカトリック幼稚園のシスターが先生だった。
幼稚園が徒歩10分くらいの近所だったので、一人で行って一人で帰っていた。
シスターのレッスンは時間が押しぎみの時が多く、そんな時は、狭い待合室のようなところで待つことになっていた。前の人のレッスンの音を聞きながら長椅子に座って待つのだけど、待合室に、文鳥2匹とリスがかごの中に飼われて置かれていた。私は待っている間、その3匹の様子をじっと見つめていた。くいいるように見ていたと言っていいかもしれない。リスはいつも輪のようになった滑車の中で楽しそうにくるくると回って走っていたり、迷路のようになっているかごの中をところ狭しと走り回っていた。そして、文鳥はかわいい声でちゅんちゅんと鳴きながら、巣箱に入ったり、えさをつまんだり、片時もじっとしていられない様子でかごの中をぴょんぴょんと、飛びはねていた。私は、その様子を見るのが好きで、もしかしたら、その3匹に会いに通っていたのかもしれないと思うほどだった。いすに座って待っているその空間は、平和で穏やかな空気であふれていた。そうして、前の人のレッスンを待つ時間はあっという間に過ぎて、私の名前が呼ばれるのだった。
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